バックグラウンドチェックを行うタイミングとは?

バックグラウンドチェックとは…
主に企業が新入社員採用の際に入社希望者に行う 信用調査 です。
採用面接や履歴書では把握・確認しきれないバックグラウンドをチェック(確認)するための調査を指します。
アメリカではすでに95%※もの企業で行われており、正社員だけではなくパートタイムなどの非正規社員も対象として行われています。
※NAPBS(世界的採用調査協会)が後援する2018年のHR.comのレポートより

バックグラウンドチェックを行うおすすめのタイミング

外資系の企業や金融機関では既に多く導入されているものの、一般企業ではなかなか導入されていないバックグラウンドチェックですが、採用時のどのタイミングで行うべきかタイミング毎にメリット・デメリットを交えて解説していきます。

最終面接後・内定前のタイミングが最適!
メリット
バックグラウンドチェックは調査機関に依頼することが基本ですので、調査を実施するために費用が発生します。
費用は人数分や調査項目分と各調査機関によって様々ですが、候補生が多ければ多いほど費用がかかります。
内定前のこの期間だと候補者の数も絞られてきて最小限のコストで済みます。
なおかつ、志望度が高まっているのもメリットといえます。
バックグラウンドチェックには候補者側の同意が必要なため、選考の早い段階で実施すると候補者の志望度が低く、個人情報の公表に乗り気ではないため、選考辞退のリスクがあります。

デメリット
最終面接後すぐに内定を出せないため、有能な候補者が他企業に取られてしまうことがあります。

最終面接前が2番目に最適!
メリット
調査結果をもとに採用面接を行う人数を絞れるため、企業側の手間や人件費を下げることが可能です。また、採用面接後、すぐに内定を出せるのもメリットで、その間に他の企業に有能な候補者を取られる心配がありません。

デメリット
対象者が多くなるため調査費用は増加します。
志望度が低く、個人情報の公開に乗り気ではないために拒否されてしまう可能性があります。

内定後・入社後のタイミング
メリット
バックグラウンドの情報が調査できるので、調査で問題があった場合に注意し監視することができる。

デメリット
入社後や内定後にバックグラウンドチェックを行うことも可能ですが、既に労働契約が結ばれていたり、始期付解約権留保付労働契約という労働契約が成立するため、内定取り消しや解雇を行うことが非常に困難となります。
また、内定後での内定取り消しは解雇権の乱用に当たる場合があります。
解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
引用元:『労働契約法 第三章 労働契約の継続及び終了』

上記のメリット・デメリットより、バックグラウンドチェックは、最終面接後の内定前のタイミングが最適といえます。

バックグラウンドチェックの流れ
バックグラウンドチェックは、基本的に企業が調査会社に委託し第三者機関として実施するのが一般的です。
各企業で行うことも有りますが、調べるための膨大な手間やデータベースの不足などの問題があるため基本的には委託して行います。

今回は基本的な「調査機関に委託してバックグラウンドチェックを実施する際」の流れを解説していきます。

【バックグラウンドチェックの流れ】
1.企業から候補者への実施内容の説明・合意
2.企業から調査機関への依頼・委託
3.調査機関による調査・結果報告

順番に解説していきます。

バックグラウンドチェックの流れ1:採用企業から候補者への実施内容の説明・合意
バックグラウンドチェックを行うには、候補者の合意を得なければなりません。
候補者についての情報は、個人情報保護法における「個人データ」に該当し、候補者本人の承諾なしに調査を行うのは違法です。
そのため委託する調査機関への個人情報の提供には同意が不可欠です。
なお、事前にバックグラウンドチェックの実施目的や調査方法、内容などの実施する調査の詳細について説明し、書面にサインする形で同意を得るのが一般的です。

バックグラウンドチェックの流れ2:採用企業から調査機関への依頼・委託
候補者の合意を得たあと、調査機関へ依頼します。
調査したい項目や方法については調査機関と相談して決めることが多いです。
料金体系は調査機関ごとに異なります。
基本的には人数もしくは調査項目により料金が設定されています。複数ある調査機関から自分の企業に合ったものを選ぶようにしましょう。
採用企業側としては全てを委託することも可能ですが、コスト面に問題がある場合は以下のような方法をとることもできます。
採用企業側で学歴・職歴のチェックなど候補者への提出を求め、確認する作業のみの比較的簡単な調査を行い、データベースが必要な犯罪歴や民事訴訟歴、破産歴、反社チェックのみを調査会社へ依頼する。

バックグラウンドチェックの流れ3:調査機関による調査・結果報告
調査会社は、履歴書・職務経歴書に記載された学歴や職歴に詐称がないかの確認や独自のデータベースを用いて候補者の情報を調査します。
学歴であれば卒業証明書の提出や学校に対する確認で把握でき、職歴は前職・現職の同僚や上司に対するヒアリングを通じて詐称の有無を調査します。
なお、調査結果はレポートとして依頼主である企業の採用担当者と関係者のみに報告されます。候補者に調査結果を公開することはありません。