問題社員・モンスター社員とは?

会社の機密情報を平気でインターネット上にアップしたり、会社の評価を下げるようなSNS投稿を行うなど、昨今のニュースを騒がせるモンスター社員の実態について一挙に解説します。

モンスター社員とは?
モンスター社員とは、仕事全般に対して言動や態度などが常識外れで、著しく問題があり会社に不利益を与える可能性が高い社員や従業員のことを指して使います。
モンスター社員が訴訟を起こし会社側を訴えるケースや、逆にモンスター社員側が訴えられ、会社の評価が落ちることもあるほど、百害あって一利なしの人材です。
「問題社員」とも言われ、簡単に情報を全世界に共有できるようになった今の時代では会社として見過ごすことができない脅威となっています。
また、昨今の企業環境においてこうした社員は大きな問題であり、人事や採用の場面では特に注意する必要があります。

モンスター社員一例
先ほどの章で記載した通りいろいろなパターンのあるモンスター社員の素行不良について、一例を紹介いたします。

・ 遅刻・早退・欠席を繰り返す勤怠上の迷惑社員
正当な理由がないにもかかわらず遅刻や欠席などを繰り返します。
・学歴や職歴の経歴詐称
採用時に提出した履歴書の学歴や職歴などの経歴を詐称しています。
・備品の持ち帰りや社用端末の私的利用
会社の備品を持ち帰り転売しています。また会社用のPCで副業を行っています。
・会社の機密情報の漏洩
機密情報をインターネットやSNSにアップしてしまいます。
・借金の取り立ての電話が会社に届く
借金を繰り返す社員は会社の電話番号を渡してしまうこともあり、会社に電話がかかってくることがあります。

あくまで一例ですが、上記のような人が増え続けているのが現状で、モンスター社員の対応から実際に裁判に発展した事例もあります。

裁判に発展した事例
一度採用してしまったらなかなか強制解雇できないのが現実です。
モンスター社員が起こした事件・事故については豊富にありますが、解雇まで至らなかった事例をご紹介します。

【判例1】横浜ゴム事件
従業員が業務時間外において、酩酊した状態で他人の住居に侵入逃走するも逮捕され、住居侵入罪で罰金2,500円を課せられた。
噂が広まったのもあり、会社側は、「不正不義の行為を犯し、会社の体面を著しく汚した」として就業規則に基づき懲戒解雇したところ、懲戒解雇は無効との判決。

今回の無効には以下の理由があります。
・会社の組織、業務等に関係のない、業務時間外にて私生活の範囲内で行われた点
・犯罪(住居侵入罪)は他の犯罪(殺人罪など)と比べて罪の重さが低い点
・対象の従業員は指揮指導者としての立場ではなく一般の工務係だった点
犯罪を行ってしまい職場の風紀が乱れたにも関わらず、会社側としては懲戒解雇を行えませんでした。

【判例2】グレイワールドワイド事件
従業員が、出勤日20日間に、会社から貸与されたパソコンを使用して49通(送信35件・受信14件)の私用メールを送受信。就業時間内の送受信は39通。さらに会社内外に対して経営批判を繰り返し、メール中に人事に対しての不満やCEOに対して「アホバカCEO」、「気違いに刃物(権力)」などと表現した。会社から従業員に事情聴取を行ったところ、反省する様子がなかったため懲戒解雇にした。しかしその後、懲戒解雇は無効との判決。

今回の無効には以下の理由があります。
・就業規則内に使用のメールを禁ずる記載はなく使用のメールを送受信した従業員が他にも複数名いた点
・就業時間中に送受信したメールは1日2通程度であり、それにより職務遂行に支障を来したとは認められず、職務専念義務に違反したということはできない点
常識の範疇から外れた行動をしたにもかかわらず反省の色が見えない従業員も簡単には懲戒解雇にできません。

モンスター社員を採用してしまった場合、会社は損失を出す可能性がありますが、簡単に解雇できないのが現状です。
自己退職という形で退職を促すことしかできないケースも多いため、ここからはもし採用してしまった場合の対応についてまとめていきます。

モンスター社員が問題を起こしてしまった際の対応
・ヒアリングと事実確認を入念に行う
会社側は問題の早期解決・同様の事象が起こらないように発生した問題について即座に事実確認を行うことが必要となります。対象は本人・関係者となります。
また、人間関係にかかわる問題の場合、以降の人事体制にも配慮する必要があります。

・常時行っている問題行動は改善策を打ち立てる
モンスター社員の問題行動は指導や注意を怠ると徐々にエスカレートしていく場合があります。改善策や注意項目を早急に作成し、問題行動であることを自覚させ改善を促す必要があります。

・定期的に勤怠状況を確認する
指導や注意後は定期的に改善されているかを確認する必要があります。定期的な確認は通常社員としても重要な育成プロセスであり、指摘事項などがしっかりと理解されているかなどを確認できます。また、いつでも相談ができるという安心感を持たせる効果もあります。

・それでもなお改善が見られない場合は罰則を設ける
指導や注意後に改善が見られない場合は、就業規則に基づいての罰則の適用を検討しましょう。また、罰則を検討している旨を本人に伝えることも今後の自暴自棄の抑止力となるため大切です。
罰則について、始末書の提出、減給や出勤停止などが挙げられます。

・罰則を設けても改善のない場合は退職を促す
罰則を設けても問題行動に改善が見られない場合、自己退職を促しましょう。
この状態だとモンスター社員も居心地の良い職場ではなく、会社側にとってもメリットはありません。
従業員と会社側の双方にとって、マイナスの引き出し合いになる前に、他でプラスの可能性を見出すことを提案します。

上記はあくまで入社を許してしまったための損害事例や講じる必要のある対策です。
バックグラウンドチェックを行うことで採用時にモンスター社員を採用してしまう可能性を低下させることが可能です。

バックグラウンドチェックを行ったことでモンスター社員になる危険性が発覚した、過去の事例については以下の記事でまとめております。
リンク:過去事例を徹底解説